|
滝沢馬琴奉納額(築土神社旧蔵)
江戸中期の戯作家(げさっか) ・滝沢馬琴の書による扁額で、戦災で消失するまでは、「柱飾(はしらかざり)」として世継稲荷(築土神社末社)拝殿の柱に掛けられていた。「柱飾(はしらかざり)」は、「柱隠(はしらかくし)」ともいい、もともとは、客間や茶室の中の突出した柱を隠すための装飾品として用いられたものである。
滝沢馬琴筆『吾佛乃記 家説第四』にこれを奉納した際の記録があり,それによれば,世継稲荷社殿を修造落成の折,文化11年(1814年)正月,赤樫(ブナ科の常緑広葉樹)二枚に,京橋銀座三丁目の額師・大原重次郎をして馬琴の書した文字を彫刻させ金字にしたとある。
大きさは「縦匠尺各六尺弱」「横七寸二分」で,題字は,それぞれ「玉粒成堆山名飯顆」「金穣鍚祥神偁稲荷 飯台滝沢解題并書」と記されている。
なお,『馬琴日記』には、「天保二年(1831年)四月十六日戊辰 世継稲荷参詣」ともあり,世継稲荷に頻繁に訪れていたことが伺える。
世継稲荷にはこの他にも、馬琴直筆の「蓮絵(はちすえ)」など馬琴ゆかりの品が残されていたが、現在では全て失われている。 |
関連ページ ↓ 【世継稲荷(田安稲荷)】
【滝沢馬琴】
|